金属材料の疲労強度向上法の開発
最終更新日:2009年10月1日
エネルギー問題や地球温暖化を背景として,自動車の燃費改善に対する要望が年々高くなっています.燃費を改善するためには,自動車部品の軽量化が必要です.そのためには,自動車部品のさらなる高強度化が必要不可欠です.特にこれらの部品には長期間にわたり繰返し応力が作用するために,高い疲労強度が要求されます.そこで,当研究室では自動車用エンジンやサスペンションに用いられている部品の大幅な疲労強度向上を実現するために,ショットピーニングをはじめとする各種の疲労強度向上法に関する研究を,疲労試験とコンピュータ・シミュレーションの両面から行っています.
1.高強度鋼の表面欠陥を無害化する手法の提案
鋼は高強度になるほど表面欠陥に対して敏感になるという問題があります.当研究室では,疲労強度低下の要因となる表面欠陥を,ショットピーニングおよびキャビテーションピーニングによって導入される圧縮残留応力により無害化する技術を開発しました.この成果は,自動車用部品の信頼性を大幅に向上させるとともに希少金属の使用低減にも寄与すると期待されます.
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疲労限度と欠陥寸法の関係 |
破壊起点の変化 |
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図1 ショットピーニングにより表面欠陥を無害化する手法の提案 |
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これらの技術の詳細は,以下の雑誌の特集において解説されています.
1. 特集 自動車部品の複合表面改質による疲労強度向上,金属,アグネ技術センター,75巻10号(2005) PP.4-41.
2. 特集 構造材料におけるき裂の無害化と自己治癒,金属,アグネ技術センター,77巻10号(2007) PP.3-49.
2.過大予荷重効果を利用した金属材料の疲労限度改善および応力腐食割れ阻止手法の提案
材料に引張の過大予荷重が作用した場合には,疲労き裂進展の遅延が生じることが知られています.これを過大予荷重効果と呼びます.当研究室では,過大予荷重効果を利用して,エネルギー機器で使用されるステンレス鋼や高強度鋼の疲労強度を改善するとともに,応力腐食割れを阻止する手法を提案しています.
図2(a)に示すように,引張過大予荷重負荷時の応力拡大係数Kovが向上するにつれて,見かけの下限界応力拡大係数範囲DKth(き裂材の疲労限度に相当)が向上することを理論および実験の両面から明らかにしました.さらに,図2(b)に示すように,引張過大予荷重効果を利用して,ステンレス鋼の見かけのKISCC(応力腐食割れに対する抵抗値)を大幅に向上できることを見出しました.
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(a) 過大予荷重負荷時の応力拡大係数 (Kov) が 疲労き裂の下限界応力拡大係数範囲(DKth)に及ぼす影響. |
(b) 過大予荷重負荷時の応力拡大係数 (Kov) が SCCの下限界応力拡大係数(KISCC)に及ぼす影響. |
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図2 引張過大予荷重が疲労き裂および応力腐食割れの下限界応力拡大係数に及ぼす影響 |
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これらの技術の詳細は,以下の雑誌の特集において解説されています.
1. 特集 材料表面き裂の無害化と自己治癒の最前線,金属,アグネ技術センター,79巻10号(2009) PP.3-51.